心理コラム

マスクを外すことに強い不安があるけれども、「いつかは外さなきゃ…」と思っている方、スモールステップでマスクを外す練習をしてみるのはいかがでしょうか。

　「不安階層表」というものをご存じですか。心理学における行動療法の技法のひとつで、不安を感じる状況を書き出して点数化し、ランキング（階層表）を付けるやり方です。不安が低い状況から練習していき、ステップをクリアしたら次のステップに上がって練習を行います。そうすることで、徐々に不安を克服し、できることを増やしていこうとする技法です。

例えば、マスクを外す状況について、下記のように点数化し、階層表を作ります。

【不安階層表の例】

	不安の強さ	状況
ステップ6	１００点	大型ショッピングセンターでマスクを外す。
ステップ5	８０点	スーパーやコンビニでマスクでマスクを外す。
ステップ4	６０点	親しい人とマスクを外し会話する。
ステップ３	４０点	人がいる公園でマスクを外し散歩する。
ステップ2	２０点	家の近くでマスクを外し散歩する。
ステップ１	０点	家の中でマスクを外す。

まずは、ステップ１から始めましょう。ステップ１の状況で不安を感じることなく過ごすことができたら、ステップ２に進みます。ステップ２が大丈夫であれば、ステップ３ヘ…と繰り返します。もちろん、次のステップが難しく感じるようであれば、前のステップに戻ってもよいですし、新しいステップを加えてもよいでしょう。例では、ステップを２０点ごとに作りましたが、もちろんもっとたくさんのステップを作っても大丈夫です。自分に合った階層表を作りましょう。

【心の専門家と一緒に取り組もう】

　不安階層表は一人で取り組むことが可能ですが、より安全に、効果的に行いたい場合は心の専門家に相談しましょう。この取り組みでは、ステップごとに振り返りを行うことが大切になります。各ステップでどんなことを感じ、どんな気持ちになったのか、またその感覚や気持ちはなぜ生じたのかを振り返ることで、自分自身の心の不安に向き合うことができます。自分の心を客観的に振り返ることはとても難しいです。また、不安と向き合うことは、時に恐怖や悲しみの感情を生じさせます。そんな時、心の専門家のアドバイスを受けることで、この体験をポジティブなものへと昇華することができます。苦手なことに取り組むことは、決して楽な作業ではありません。だからこそ、信頼できる人と励ましあいながら、ともに成長していきましょう。