大人の発達障害と対処法
2023.02.03
子どものときに発達障害の診断を受けた場合、療育機関で必要な療育を受けることができます。療育によって、発達のアンバランスをできるだけなだらかにし、社会生活の中で困ることが減る可能性があります。
一方で、大人になってからそのような療育的訓練を受けることは難しくなります。例えば、精神科病院のデイケアでSST(ソーシャルスキルトレーニング)などを受けることができますが、そのような施設は限られていることと、病院受診をしなければならないといったハードルがあります。また、認知機能のトレーニング等は時間や費用が掛かるという問題もあります。
大人になってから自分の発達の特性に気が付いたとき、「能力を伸ばす」のではなく、「外部に機能を求める」というやり方があります。分かりやすい例は、スマートフォンの活用です。スマートフォンには、大量の写真や動画、スケジュール、メモを気軽に保存することができます。これにより、私たちは自分の脳のキャパシティを使うことなく、多くの情報を保存管理することができます。このように、私たちの記憶や情報管理の一部を委託するものを「外部補助具」等と言ったりします。
外的補助具になるものの例として、次のようなものがあります。
★リーティングルーラー・リーティングトラッカー
・困り感:文章が読みにくい。白い紙に黒い文字が苦手。
・使い方・効果:色のついたルーラーを使うことで、色のコントラストによるちらつきなどを抑える。ガイドラインがあるため文を目で追いやすい。
★ノイズキャンセラー
・困り感:環境音(エアコンの音、椅子を引く音、キーボード音等)が苦手
・使い方・効果:イヤホンのように耳に装着することで、環境音をカットすることができる。人の話し声などは聞こえるため、会話に集中しやすい。
★ムービングクッション
・困り感:座っているときの姿勢保持が苦手
・使い方・効果:椅子の座面の上にクッションを置き、その上に座る。自然と前傾姿勢になり、正しい姿勢になることができる。空気を調整することで自分に合った高さにできる。
★触感グッズ
・困り感:イライラしたりすると動かずにはいられない。
・使い方・効果:ぷにぷにしていたり、プチっという触感が楽しめるグッズ。手にもてるサイズで人目に付きにくい。落ち着かないときに机の下などで刺激を得ることができる。
★ウェアラブルメモ
・困り感:手の甲などにメモしがち。手が真っ黒になる。
・使い方・効果:手首や首など、体に身に着けていつでもメモができる。書いたり消したりできて、繰り返し使うことができる。
★残り時間が見えるタイマー
・困り感:時間の感覚が苦手。作業が時間通りできない。
・使い方・効果:残り時間が見えることで、目に入りやすく、体感的に把握しやすい。また、残り時間を事前に確認することで、気持ちの切り替えもスムーズになる。
このほかにも、スマートフォンのアプリなどで便利なものがたくさんあります。
自分がどんなことが苦手なのか、まずは分析してみましょう。苦手さを知ることで、自分にピッタリな補助具を見つけやすくなります。ぜひ、自分の性格や個性にあったものを探してみてくださいね。