こころの保健室は名古屋市内の心理カウンセリング専門の心理相談室です。

心理コラム

強迫性障害とその治療

2024.12.01

【薬物療法】

強迫性障害は、薬物療法と心理療法によって症状が改善すると考えられています。薬物療法では、抗うつ剤を用いることで、強迫観念によって生じる不安を軽減することが期待できます。投薬を1か月から数か月間続けることで効果が表れますが、日々の環境変化やライフイベントによって気持ちが浮き沈みすることがあります。いっとき薬の効果が感じられないと思っても、自分の判断で服薬を中止したり、病院を変えたりすることはひかえましょう。

【認知行動療法】

 強迫性障害に対して、認知行動療法、特に暴露反応妨害法が効果的であるといわれています。

暴露反応妨害法は、患者自身が強迫観念を引き起こされる状況に立ち向かい、強迫行為を起こさなくても時がたてば不安が低下することを学習してもらう治療法です。

例えば、

  • 汚いと感じているドアノブに触る。

  • 手洗い行動をしない。

  • 手洗い行動をしなくても状況は悪化せず、時間とともに不安な気持ちは落ち着いていく。

という経験を繰り返し、強迫行為を起こさなくても大丈夫であることを学習していきます。

 この過程は、信頼できる専門家と行うことが大切です。ドアノブに触って怖いと感じたときの気持ち、手洗い行動をしないことへの不安、時間が過ぎるのを待っているときのつらさや気持ちの変化などを打ち明け、気持ちを整理し、専門家とともに客観的な視点から再評価します。そうすることで、単なる恐怖体験ではなく、新たな学びとして定着していきます。

【家族のかかわり方】

強迫行為が頻繁に起こると、身近にいる家族も不安になることが多いでしょう。家族ができるサポートとして、まずは病気について正しく理解しましょう。本人が一番苦しんでいるため、批判したり責めたりすることは避けましょう。また、強迫行為に付き合ったり、一緒にやったりすることは症状の悪化につながります。専門家のサポートを受けながら小さな進歩を認め、家族全体で協力しながら治療に取り組むことが大切です。

「こころの保健室」では、心の専門家が相談に乗ります。自分自身や家族の異変を感じたときは、どうぞお気軽にご相談ください。

 

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