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心理コラム

強迫性障害について

2024.11.29

外出した後に「ちゃんと家の鍵かけたかな?」「コンロの火を消したかな?」と不安になったこと、誰しも一度は経験があるでしょう。しかし、この不安が常に頭から離れず、戸締りなどの確認行動を何度もしないと気がやすまらない状態になり、日常生活に支障が出てしまったとしたら、それは「強迫性障害」かもしれません。

強迫性障害には、「強迫観念」と「強迫行為」の二つの症状があります。「鍵をかけたかどうか不安だ」という思いは「強迫観念」にあたり、鍵をかけたかどうかドアノブを回してガチャガチャと確認する行為は「強迫行為」にあたります。「強迫観念」は、鍵をかけたことを確認したにも関わらず繰り返しその不安に襲われるなど、不合理であるにもかかわらずその考えをやめることができません。また、「強迫行為」は「強迫観念」によって誘発され、無駄だと思っていてもその行動をやめることが難しくなります。

【代表的な強迫観念と強迫行為】

  • 不潔恐怖と洗浄強迫

 「手にばい菌が付いてしまった」「お気に入りのぬいぐるみが汚れてしまった」など、自分や自分の持ち物が不潔になってしまったという強迫観念にかられ、過剰な手洗いや洗濯、消臭除菌剤の塗布などを行う。

  • 加害恐怖・不完全恐怖と確認強迫

「車で人をひいてしまったのではないか」「無意識に悪口を言って人を傷つけてしまったのではないか」など、誰かに危害を加えてしまったのではないかという思いを「加害恐怖」といいます。また、「鍵を閉め忘れたのではないか」「大事なものを落としていないか」など、自分の行動が不完全であったのではないかと過剰に心配になることを「不完全恐怖」といいます。加害したかどうか、不完全な結果が起きていないかどうかを何度も確認せずにはいられない行動を「確認強迫」といいます。

  • 儀式的行為、数字へのこだわり

「決められた順番で物事をこなさないと不幸なことが起こる」といった儀式的な強迫観念や「この数字は不吉の象徴であり避けなければならない」という数字へのこだわりが強迫観念になっている場合があります。どんなに朝寝坊しても起床後の儀式的ルーティンをこなさないと外出できない、特定の数字を避けたため電車に乗れない、といった強迫行為のために生活に支障をきたすことがあります。

 上記以外にも、物の位置に対するこだわり、対称性に対するこだわり、収集に対するこだわり、疾病恐怖、懺悔強迫など、様々な強迫性障害の症状があります。

 共通するのは、いわゆる過度な「完璧主義」「潔癖」「心配性」といった状態であるということです。不潔恐怖や加害恐怖といった強迫症状があるからといって、その人が本当に不潔であるとか、加害的であるとはいえません。むしろ、「いい人」「善人」であろうとする思いのほうが強いでしょう。

 強迫性障害は、いい人であろうとしたり、他者に迷惑をかけまいとするあまり自分で自分の首を絞めているような状態でもあります。心当たりがある人は、ぜひ専門家に相談してみてください。「こころの保健室」では、あなたの不安に寄り添います。

症状一覧

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