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心理コラム

機能不全家族と子どもへの影響

2024.06.01

機能不全家族では、子どもに対して過度なストレスが日常的に存在している状態になります。それが子どもの生きづらさや精神疾患の発症につながることがあります。

【アダルトチルドレン】

アダルトチルドレンとは、1990年代に急速に日本で広まった言葉で、もともとはアルコール依存症の親に育てられた幼少期を持つ大人というアメリカで生まれた概念でした。その後、広く解釈されるようになり、アルコール依存症以外にも虐待や毒親といった環境の中で育った子どもたちが、大人になっても子ども時代の生きづらさを抱えたままでいる状態を指すようになりました。大人になりきれてない幼稚な大人と解釈されることがありますが、それは間違いです。

機能不全家族の中で生き延びるため、子どもは無意識に何らかの役割を演じます。優等生であることで家族の賞賛を得ようとしたり、逆に問題児であることで家族の意識を自分に向けさせて他の問題を回避しようとしたりします。自分を隠すようにひっそりと生きて問題を避けることもあれば、ピエロの様にいつでも明るく笑顔でまるで困難などないようにふるまうこともあります。そうした努力は大人になっても簡単にやめることができず、他者とのコミュニケーションの中で常に何らかの役割を演じ、本来の自分をさらけ出すことができず、大きなストレスを抱えることになります。幼少期に家族との間で築いてきたコミュニケーションパターンから抜け出せないことが、アダルトチルドレンの苦しみの一端でもあります。

【PTSD(心的外傷後ストレス障害)】

親から受けた身体的暴力や言葉の暴力は忘れようとしても頭や体のどこかで覚えており、それが時折フラッシュバックし、まるで今体験しているかのように感じてしまうことがあります。また、過去の苦痛がよみがえることを恐れて関連する場所や似たような場所を避けるなど、生活にも影響をおぼします。長期にわたってうつや食欲不振などの心の不調にも悩まされます。このような症状は「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」といわれ、治療が必要な心の病です。特に、虐待などの長期にわたって命の危機や安全を脅かされる状況にいた場合、「複雑性PTSD」と診断されることがあります。この場合、感情コントロールの難しさや自己評価の著しい低さが顕著であるといわれています。

【共依存】

機能不全家族では、アンバランスな家族の中で生き延びるために無意識にお互いを支えあうような構造ができあがります。それを「共依存」と呼びます。例えば親がアルコール依存症である場合、子どもが家事したり、親の愚痴の聞き役をしたりすることがあります。子どもは「自分がいないとこの家族は成り立たない」という思いを抱くようになります。その思いは成人後も続くことがあり、「自分がいないとだダメになる」ようなパートナーを選んだり、パートナーの理不尽な要求に対して「自分しかパートナーを支えられない」と解釈したりしてその役割を果たそうとします。周りから見れば「なぜそんな大変な境遇にいるのだろう」を思えるような関係性であっても、本人は「相手から必要とされている」ように感じているため、その関係性から抜け出すことが難しくなります。

機能不全家族の中で育つことは、周りに振り回されて生きることでもあり、「自分らしさ」や「自分の生き方」を見つけにくいと感じることもあるでしょう。過酷な環境を生き延びてきた自分自身を褒めてあげてください。また、その自分とともに、これから「自分らしい生き方」を見つけていってください。「こころの保健室」では、カウンセラーが自分らしさをみつけるお手伝いをします。ぜひご相談ください。

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