パニック障害はどうやって治すの?
2024.03.01
パニック障害の治療は主に「薬物療法」と「認知行動療法」です。薬物療法と認知行動療法の二つを併用することで、より効果的であるとされています。
【薬物療法】
パニック障害は「不安障害」の一つです。抗不安薬は、パニック発作を抑える作用があります。また、パニック発作が起こることに対する「予期不安」に対しては、抗うつ薬が有効とされています。
薬を飲むことで症状が改善されることが期待できますが、自己判断で服薬を中止することはやめましょう。薬によって抑えられていたパニック発作が再発する可能性があります。一方で、「薬を飲めば不安を避けられる」と薬に依存してしまう可能性もあります。薬物治療の際には、主治医の指導をきちんと受け、薬に対する思い入れが強くなりすぎないよう注意しましょう。
【認知行動療法】
パニック障害の治療では、パニック発作や予期不安の繰り返しを少なくし、成功体験を増やしていくことが大切です。薬物療法で症状を抑えると同時に、認知行動療法を行い、不安を乗り切れた体験や外出に成功した体験を積み重ねていきます。
避けている場所や状況に対して、段階的に接近して克服していることを目指す治療法を「段階的暴露療法(エクスプロージャー)」といいます。
「段階的暴露療法」では、例えば次のような段階を踏んで治療を行います。
- 暴露療法の原理について説明します。不安は時間とともに、また練習するほどに下がっていきます。暴露療法では、一定時間をかけ、段階的に取り組むことで症状を緩和する効果が期待できます。
- やる気が出る目標を定めます。長期、中期、短期的な目標を定め、治療への動機づけを行います。「電車に乗って旅行に行きたい」など。
- 不安階層表を作ります。不安を点数化(100点満点)し、不安が大きい状況に対してより大きな点数を付けます。例えば「飛行機に乗る100点」「コンビニに行く30点」など。
- 不安階層表を基に、練習する課題を設定します。50点あたりから挑戦し、課題が難しければより低い点数の課題に取り組みます。
- 課題をクリアしたときは、十分に自分をほめます。次の課題に挑戦し、最終目標への到達を目指します。
ほかにも、パニックを引き起こす思考の悪循環に気が付き、考え方や行動を修正し、自分自身で不安をコントローできるようにすることも有効でしょう。
認知行動療法では、不安になる状況に直面したり、イメージして訓練したりする過程を含むため、一人では危険なことがあります。必ず、信頼できるカウンセラーや家族とともに取り組みましょう。
こころの保健室では、認知行動療法を用いたアプローチを行っています。一人で悩まずに、お気軽にご相談ください。