強迫性障害になりやすい人って?
2024.11.30
強迫性障害の原因は解明されていませんが、性格、生育歴、脳の機能障害、ストレスや感染症などの環境要因など、様々な要因が重なって引き起こされると考えられています。
強迫性障害を発症しやすい年齢は20歳前後で、比較的若い人に多い病気です。児童期、思春期に発病しやすいといわれていますが、そのころには病気だと思わず、大人になってから受診する人も多くいいます。男女差は特にないとされていますが、児童期・思春期には男性が発症しやすいといわれています。人口の50~100人に一人程度の有病率といわれています。
【強迫性障害と性格】
強迫性障害になるかどうかが性格によって決まるわけではありませんが、なりやすい人の性格傾向はあると考えられています。
基本的には、まじめで几帳面、礼儀正しく、ちょっと硬いイメージの人が多いようです。人に対して誠実で優しくいようと努力し、反発しないことが多いでしょう。一方で、親しい人に対しては自分の意見を通そうとして頑固になったり、攻撃的になったりすることもあるようです。自分の好きなことに対しては出費をいとわないのに、それ以外のことに対しては非常に財布のひもが固くなることもあり、いわゆる「ケチ」なイメージを持たれることもあるでしょう。
人前では自分の素直な感情を出すことが難しく、本来の自分を押さえつけて社会生活を送っている人は、その生き方自体がとてもストレスフルな状態です。強迫性障害だけでなく、うつ病などの病気を引き起こす可能性もあります。強迫的な症状がある場合、早めに専門機関に相談しましょう。
【強迫性障害と感染症】
コロナ禍では、毎日のように新型コロナウイルスの脅威について報道され、入念な手洗いや消毒をし、常にマスクを着用するような生活を求められました。まるで社会全体が強迫性障害になったかのように、「新型コロナウイルスの脅威が身近にあるかもしれない」という強迫観念にせかされ、強迫的な衛生行動を求められました。その中で、過剰なウイルス対策の末に日常生活に支障をきたし、実際に強迫性障害の診断を受けた人もいたのではないでしょうか。
感染症や災害などによって日常生活の中で突然自由が奪われ、制限された生活を強いられることで、心身に変調をきたすことは少なくありません。自分自身や身近な人の異変を感じた際は、すぐに相談機関を利用してください。
【強迫性障害とライフイベント】
対人関係の悪化、仕事上のストレス、結婚、出産など、人生での大きなライフイベントが強迫性障害の発症の引き金になることがあります。きっかけとなるのはネガティブな出来事とは限りません。昇進や結婚出産など、ポジティブと思える出来事であっても発症のきっかけになることがあります。もともと完璧主義できっちり物事を成し遂げたいという性格である上に、仕事や家庭でさらなる責任感や重圧を感じるからです。もしそのような状況で強迫観念や強迫症状に悩まされてとしても、「幸せなはずなのにこんなことになるのはおかしい」と自分を否定しないでください。それは、頑張りすぎている自分自身からSOSです。身近な人にあなたの素直な気持ちを伝えてみてください。
また、「こころの保健室」では、心の専門家があなたの悩みに寄り添います。ぜひご相談ください。