摂食障害ってどんな病気?
2024.01.30
摂食障害とは、食に関する行動を中心に起こる様々な問題全般をさします。食事の量や偏り、体重や体型へのこだわりなど、心と体両方に影響をおよぼします。重症の場合は、健康や命にもかかわる大変危険な病気ですが、自分自身で食事のコントロールをすることが難しく、家族や信頼できる他者とともに適切な治療を受けることが推奨されます。
摂食障害は症状によって細かく分類されますが、代表的なものは以下の通りです。
◆神経性やせ症
以前は拒食症ともいわれていた症状です。自分自身の体重や体型の管理に非常に厳格で、極端な食事の制限を行い、著しい体重の減少を伴います。非常にやせているにも関わらず、本人にはその認識がなく、嘔吐や下剤を乱用し体重増加を防ごうとします。また、拒食とむちゃ食いをする過食が交互に見られることがあります。思春期・成人期の若い女性が発症しやすいといわれています。極端な体重減少は命にかかわるため、早期発見・治療が必要です。
◆神経性過食症
短時間で大量に食べるむちゃ食い(気晴らし食い)を行い、その衝動を自分でコントロールできなくなる症状です。過食する一方で、肥満を恐れて嘔吐や下剤の乱用、絶食などで埋め合わせをしようとすることが特徴です。比較的若い女性に多くみられ、体重は適正範囲内であることが多いといわれています。そのため、他者が病気を見抜くことが難しく、発見が遅れることがあります。
◆過食性障害
短時間に大量の食べ物を摂取し、それが良くないことだと認識しながらも何度も繰り返してしまう症状です。また、神経性過食症と違い、過食に対する埋め合わせ行動(嘔吐、下剤の乱用、絶食等)がないため、体重増加や肥満を伴います。また、過食性障害の人の半数は男性であるといわれています。
◆回避制限性食物摂取症
食事量が非常に少なかったり、特定の食べ物の摂取を避けたりすることで、体重減少や栄養不足に陥る症状です。神経性やせ症とは違い、体重や体型へのこだわりはみられません。大人よりも子どもに多く見られ、栄養不良による成長の遅れなどにつながることがあります。
食べることは、人間が生きていくために欠かせない行動です。その行動に異常がみられる場合、健康を著しく損ね、生命にかかわる事態になりかねません。また、食事をするところを見られたくないといった心理から他者と一緒に食事をすることを避け、社会から引きこもりがちになります。「食事に関する悩みは自分自身の問題だ」と抱え込まず、勇気を出して打ち明け、周囲のサポートを受けながら早期に適切な治療を行うことが大切です。